2017年10月7日土曜日

【ご報告】本のカフェ第41回@東京、恵比寿

日時:2017年9月30日(土) 16-18時
場所:恵比寿のカフェ カルフール
参加:11名+主宰者
参加費:1000円+ワンドリンク
    U25 ワンドリンクのみ

    
読書会「本のカフェ」今回は、テーマフリーでした。どのジャンルの本もOK.




一冊目は、クインティリアヌス『弁論家の教育』。修辞学は古代ローマにおいて自由人の教養とされ、自由七科のひとつでもあった。修辞学は「発想、配列、措辞、記憶、口演」の五つの要素から成る。措辞は、フィグーラと呼ばれる言葉の綾を用いて装飾すること、また口演には身ぶり手ぶりも含まれる。この本には教育学の側面もあり、徳の高い人間を育てる目的もあった。修辞学は20世紀に入って見直され、いまは音楽や歴史学でも再評価されている。


二冊目は、アシモフの『ファウンデーション』。アシモフは生化学の科学者だが、SF作家となり、この3部作でSFの礎を築いた。ギボンの『ローマ帝国衰亡史』をベースに書かれたため歴史小説のようでもあり、司馬遼太郎を読むような感覚とも似ていた、という。第二次大戦中に書かれており、反戦的な傾向がある。「暴力は、無能力者の最後の避難所である。」という文言は何回も出て来る。外交を駆使して侵略を阻止するシーンも描かれる。


三冊目は、フランス文学。フィリップ・フォレストの『さりながら』。タイトルは小林一茶の句から採られている。日本文化論の形をとった私小説的なエッセイであり、とりわけ「私小説」のニュアンスが強い。著者は自分の愛娘を4歳で亡くしており、その経験を書くことで小説家となった。喪の作業として書く。紹介者は、ひとが旅に取り憑かれるのは、旅が離れた場所をつなぎながらふたつの時を結びつけるからではないか、と考察して結ぶ。


一冊目、二冊目の紹介者さんは、丁寧なレジュメを用意してくださり、内容が濃密でまとめきれないほどです。三冊目の紹介者さんは、詩的な語りで文学の朗読を聞かせるようにお話ししてくださいました。


後半のフリータイムでは、3つくらいの島に分かれてあれこれとおしゃべりしました。ケーキを頼まれた方もいらして美味しい時間でした。


充実したご紹介をしたくださったみなさま、和気藹々としたムードで楽しんでくださった参加者のみなさま、そしていつものカルフールのスタッフの方々へ、ありがとうございました。

次回は、11月4日(土)16-18時にカルフールにて開催します。またご案内をブログに載せます。よろしくお願いします。

主宰、文責:木村洋平
写真:参加者の方々、木村洋平

クインティリアヌス『弁論家の教育』京都大学学術出版会、現在全5巻中4巻まで刊行
アイザック・アシモフ『ファウンデーション』岡部宏之訳、早川書房
フィリップ・フォレスト『さりながら』澤田直訳、白水社、2008