2017年5月25日木曜日

雨と木曜日(129)

2017.5.25.

木曜日更新のエッセイ。
今回は、北海道のデパート巡り * チコリコーヒー *『ウィンザーの陽気な女房たち』の3本立て。



北海道を旅行するとき、地方のデパートを訪ねるのが好きだった。わざわざどこも同じようなデパートに入るなんてなぜ、と思われそうだが、客層やテナントの入り方を眺めると街の雰囲気を反映している。旭川の西武(昨年、閉店)は懐かしいし、函館の丸井今井(五稜郭のそば)も巡った。函館の棒二森屋のほか、デパートではないが旭川のフィール、小樽の長崎屋も風情あり、今どうなっているのかな、と思う。


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十年ぶりにチコリコーヒーを飲んだ。チコリの根(今回の商品は大麦やライ麦、ビートも入っている)を焙煎してできるコーヒー風味飲料。珈琲豆との関係はまったくない。もともとは19世紀だったか、珈琲不足に陥ったドイツで代用品として飲まれた。いまは「デトックス」「からだにやさしい」飲料として健康ブームもあるようだ。マクロビオティック(玄米菜食)に採り入れられることもある。解説が長くなったが、香りもまろやかで美味しい。


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『ウィンザーの陽気な女房たち』は、シェイクスピアが同時代のイングランドを舞台にした唯一の劇作品。愉快な喜劇で、解説によれば、ブルジョアの価値観を色濃く反映してもいる。なるほど。松岡和子訳で読んだが、訳注がくどいような、台詞の流れが音楽的でないような、どことなくちぐはぐの印象も拭えない。それはさておき、シェイクスピアがほぼすべての作品で別の時代か異国を舞台にするのは、やりたい放題に書けるからだろう、と考える。


『ウィンザーの陽気な女房たち』、シェイクスピア、松岡和子訳、ちくま文庫、2001