2017年3月2日木曜日

雨と木曜日(118)

2017.3.2.


木曜日更新のエッセイ。
今回は、札幌ギャラリーミヤシタ/井上まさじさん〜ヴィヴァルディのスターバト・マーテル〜『この世界の片隅に』コミック版。


個展開催中。守分さん

明日は雛祭り。雛人形を象った小さな飾りにも風情を感じる。東京は春へ向かうけれど、札幌の冬を思い出すと東京は「常春」の冬だった、と思う。さて、その札幌で画家、井上まさじさんの展示が続く。道立近代美術館では、ワンダー☆ミュージアムの一環で井上さんの作品が展示されている(〜4/9)。次いで、4月12日からはギャラリーミヤシタでの新作個展が始まる。ミヤシタは現代美術専門の画廊でいまは守分さんの個展開催中。円山へ、ぜひ。

ひとつ前の個展DM

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ヴィヴァルディというと、「四季」や「調和の霊感」など器楽曲が浮かぶ方は多いと思う。しかし、宗教声楽曲も素晴らしい。僕がとくに胸を打たれるのは「スターバト・マーテル(悲しみの聖母)」で、なかでもアンドレアス・ショルの歌う盤が一番、声の通り方に透明感があると感じる。「スターバト・マーテル」はヴィヴァルディ固有の曲ではなく、ラテン語の歌詞を同じくして他の作曲家も同名の曲を作っている。ペルゴレージのもいい。

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『この世界の片隅に』(上中下)を漫画で読んでいる途中だ。映画も大ヒット、ロングランのようですね。漫画は、無言の絵による情景や街、人間関係の描写が表現力豊かで、したがって台詞が少ない。台詞には当時の世相を映す、または特有の方言が多く、物語の進行は主に絵で示される。これは漫画ならではの表現方法だ、と感じる。寡黙さが際立つ。映画は観ていないが、これがどう映像化されるのか、映画も静けさをもつのか、気になる。

『この世界の片隅に』上中下巻、こうの史代、双葉社、2008〜2009