2017年2月23日木曜日

雨と木曜日(117)

2017.2.23.

木曜日更新のエッセイ。
今回は、喫茶店バウハウス〜井上まさじ展〜『三文オペラ』。




歴史のありそうな喫茶店に巡り会えた。打ち合わせがあり、初めての駅に降りた。チェーンのカフェはいくつかあったが、「バウハウス」という名前が気になるからと言われ、探してみることに。古い商店街を通り、小路を覗くと看板が見えた。なかもレトロな雰囲気で、初老の常連さんらしきひとたちがカウンターで煙草をくゆらせている。灰皿には珈琲の粉。ドイツのバウハウスになぞらえたわけでもないらしい内装。



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井上まさじさんは僕が大変好きな画家である。札幌のギャラリーミヤシタを拠点に、一年に一度、個展を開いて新作を出している。今年は、4月12日〜5月7日まで。東京でも、土日画廊(中野のあたり)に十点ほどの作品があり、先日まで展示されていた旧作を観に行って来た。見覚えのある作品もあったが、東京の空気のなかで見るのと、札幌の凛として厳しい空気のなかで見るのでは印象が変わる。札幌の方がやはり作品に合っているとも感じた。

ギャラリーミヤシタ スケジュール:http://www.gallery-miyashita.info/sougouannai_2017.html


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ブレヒト『三文オペラ』を読む。20世紀演劇の古典であるから、肩肘を張って読んでしまったが、どこか肩すかしを食う。デウス・エクス・マキナで安易なハッピーエンドに転じるところも、ええ、と驚いた。露悪的で世俗的、むしろ露俗的とでも言うのか、娼婦もブルジョワ批判も詐欺まがいの行為もベタベタに描かれている。発表当時から大ヒット作だったらしいが、その時代のドイツの空気を勉強したら、より得心が行くか。

『三文オペラ』、ブレヒト、谷川道子訳、光文社古典新訳文庫、2014