2016年12月22日木曜日

雨と木曜日(110)

2016.12.22.


木曜日更新のエッセイ。
今回は、ふろふき大根と葉っぱのふりかけ〜エクセルシオール・カフェ〜『谷間のゆり』。


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畑をやっているご夫婦が露地売りのようにして野菜を並べている。大根が一本150円。葉っぱがふさふさについたまま。さっそく輪切りにして面取りし、ふろふき大根を作る。昆布で出汁をとって、細切りにしてまた入れる。ゆずを乗せて出来上がり。一方、葉っぱの方はざくざく切ってから、炒めてしまう。かつおぶしを混ぜてごまをかけると美味しい。そうして、ふりかけにしてご飯とふろふき大根に乗せる。いただきます。

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エチオピアを紹介する紙が付く

エクセルシオール・カフェは一時期、あちらこちらで見かけて、そのあと見なくなったと思っていたら、駅近くでリニューアル・オープンしていた。スペシャルティコーヒーを扱い、ランチは1000円ほどで以前よりも高級感を出している、内装もだ。広々して気持ちがよく、ソファ席もあるが、スタバよりも珈琲そのものへのこだわりを出す。850円のゲイシャはさすがに遠慮して、430円のエチオピア。ドトールよりちょっと美味しかった。(笑)

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先週に引き続き、バルザックで『谷間のゆり』。貞淑な夫人と聞き分けのよい青年の恋物語。青年は「谷間」の地所でゆりのような貴婦人と交流するが、いずれパリへ出る。そのときにはなむけとして送られる夫人からの手紙がすばらしい。愛情あふれる文面は、パリでの処世の術を切々と述べて、いまの日本にだって通用しそうだ。バルザックの世情通がよく出ている。物語の終わりもとある手紙で、冷徹な認識が締めにふさわしい。

【書誌情報】
『谷間のゆり』、バルザック、宮崎嶺雄訳、岩波文庫、1994(初訳は昭和15年らしく、いまも活き活きと読めるのに驚く)。