2016年5月14日土曜日

雨と木曜日(82)

2016.5.12.


木曜日更新のエッセイ。(ふつか遅れ)
今回は、札幌の「初夏」か春〜珈琲の雑多なお話〜リー・コニッツを聴く。


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札幌は昨日から一気に暖かくなって、公園ではアカナラも小さな薄い若葉をつけ始め、白樺はまあるい黄緑の葉を枝ごと揺らしている。ふたりの友人にも会った。みんなが外へ出る季節だ。僕は「初夏」めいているなと感じるのだが、土地のひとに言わせると、どうも「春」らしい。まだまだ気温の下がる日もある、と。札幌の春は駆け抜けるから不思議だ、とらえどころがない。そして、リラは蕾をつけ、たんぽぽとデイジーが咲き乱れる。


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珈琲の話題ばかり、雑多に話してみよう。/札幌はたっぷりの粉(たいてい深煎りだ)にとぽとぽと水滴を垂らすように抽出するお店が多いから濃く出る。贅沢だね。/札幌は喫茶文化がいまだに根づいている街でもある。チェーン店の進出もありながら、まだまだ中心部のビルのあちこち、また、中心部から外れたところに一軒きりのお店。常連さんたち。/湯温は、抽出し終わって口に運んだとき、熱くないくらいがいいな、と思う。


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リー・コニッツを聴きたくなった。突然、ジャズを(それまで古楽ばかりかけていたが)聴きたくなり、ぱーっと奏者の名前を並べて、なかからリー・コニッツを選んだ。白人のサックス奏者で、マイルスがセッションをやろうとして「やつは白人じゃないか」と仲間から反論されたとき、「おれは肌の色が緑でもすぐれた奏者とならやる」と答えた、そんな逸話の登場人物。マイルス好みだろう落ち着いたクール・サウンドで少しおとなしい。