2016年4月29日金曜日

雨と木曜日(80)

2016.4.28.


木曜日更新のエッセイ。
今回は、雪のゴールデンウィーク〜英国発のクリームティー〜珈琲と文化「ネルドリップの魁(さきがけ)」。


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雪予報。2日続けて、ゴールデンウィークの初日から雪が降るという。5月初めの雪もめずらしくない札幌とはいえ、なんだか楽しみになってしまった。観光には向かないが、傘を差すのにちょうどよい。というのも、よい年の大人がいつまでもビニール傘でははずかしいかと思い、青い立派な(1000円の)傘を買ったのだ。早く差したくてわくわくしてしまうところが、やっぱりはずかしい大人なのだが、風でひっくり返っても元に戻る傘らしい。

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先日、めったにゆかない紅茶専門店なるものへ行って来た。ビルの一角でややオープンなので、「紅茶の館」に閉じ込められた奇妙な幸福感はないものの、そこだけ落ち着いたムードで温かい。「クリームティー」を選び、そういえば、と思う。クリームティーというのは、英国紳士ならご存じの通り(僕は知らなかった)紅茶とスコーンのセット(クロテッドクリームとジャムがつく)であって、クリームを浮かべた紅茶ではない。不思議だ。


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『珈琲と文化』という季刊誌がある。といっても、ふつうの書店では置いていないのではないだろうか。購読していた喫茶店のマスターから教わった。その78号に、日本における「ネルドリップの魁(さきがけ)」という記事がある。少し長くなるが、勉強になるので、書いてしまおう。

ネルドリップの先駆けは、1901年生まれの三浦義武氏である。彼は茶園を経営していたが、珈琲にはまりこみ、おそらくカフェイン中毒になりながら、珈琲を飲み歩く。その後、昭和10年秋に銀座の白木屋デパートで「珈琲を樂しむ會」を開く。この会は少なくとも50回以上、昭和12年まで続く。三浦氏は、同時に自家焙煎の草分けでもある。

とのこと。

【書誌情報】
『珈琲と文化』、いなほ書房