2016年4月15日金曜日

雨と木曜日(78)

2016.4.15.


木曜日更新のエッセイ。
今回は、雑誌penのスヌーピー特集〜アゼルバイジャンの紅茶〜プーシキン『スペードのクイーン/ベールキン物語』。


雑誌penの「みんなのスヌーピー」が楽しい。2/15発売なので、ふた月前のものだが、いま頃ゆっくりと読む。六本木にスヌーピーミュージアムがもうすぐオープンすることを知る。ところで、欧米では、近代のフランスやイギリスが発祥なのか、皮肉(アイロニー)を笑い、高尚な知的遊戯とさえみなす文化がある。そんななか、皮肉のない素直なジョークを愛するピーナッツのシリーズ、僕は好きだ。チャーリー・ブラウンにのび太くんを連想する。

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アゼルバイジャンの紅茶を飲んだ。母の友人が旅行したおみやげとのことだが、めったに飲む機会はなさそう。旧ソ連から独立した国で、先日はアルメニアとの武力衝突があり、大きな被害が出たはずだ。さて、その紅茶は、ディンブラのようにストレートでも軽やかな風味が立っておいしく、ダージリンを思わせるような力強さもあった。「ロシアンティー」という異国情緒のある言葉と、なにか歴史上のつながりがあるのだろうか……。

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『スペードのクイーン/ベールキン物語』(プーシキン)を読んだ。ロシアの黄金時代を築いた、近代ロシア文学の創設者とも言えるようなプーシキンの短編集。表題のひとつ「スペードのクイーン」は賭けの物語。『ベールキン物語』は死や恋を扱う5篇の物語集。生涯に何度も決闘をし、最後の決闘で40歳に満たずに亡くなったプーシキンの若き情熱が格調高くも、端正さや長大さに至らない文体でロマン的なお話をきっちりまとめる。

【書誌情報】
『スペードのクイーン/ベールキン物語』、プーシキン、望月哲男訳、光文社古典新訳文庫、2015