2016年1月8日金曜日

【本と珈琲豆】多和田葉子『言葉と歩く日記』

〜書評〜


ずっと気になっていた岩波新書。『エクソフォニー』で有名な、ドイツ語と日本語を行き来する多和田さんのエッセイ。日付入りで毎日つける「日記」形式。


著者は22歳でドイツへ渡り、この本を書いていた2013年もドイツ在住。「アサガオの観察日記」をつけるように、言語について日々考えることを綴ったという。

ドイツ語の好きなひと、多少なりともわかるひとはいっそう楽しめる。うえの「言語日記」の側面だけでなく、多和田さんの日々随想も書かれているし、なにより日々の生活も驚かされる。

一週間のうち、半分は観劇やパーティー、友人と周遊して過ごしている。仕事も、自分の小説や朗読、他の作家とのコラボレーションなどで、創作ごとに耽っていてちょっと羨ましい。

日本語とドイツ語の境界をはじめとして、自分は「境界」のうえをゆくのが好きなのだ、と書くところ、かっこよいスタンス。

【書籍情報】
『言葉と歩く日記』、多和田葉子、岩波新書、2013