2016年1月28日木曜日

雨と木曜日(71)

2016.1.28.

今回は、北海道のおじいさんと名寄の寒さ〜トラジャ〜『ブレイク詩集』。



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北海道の列車で、隣り合ったおじいさんと話した。野外で大型車両の整備、修理をされていた方。バーナーなるものを焚いて暖を取り、ときには山奥で除雪車のタイヤを交換する。旭川より北はほんとうに寒くて、名寄で泊まったときは夜中に2回も車のエンジンをかけに起きたそうだ。あの寒さは、たとえばガソリンに火種を放り込んでも、気化しないのと、寒さのせいで(?)火がつかなくなるのだそうだ。いまは温暖化してきたね、と。

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「珈琲とお菓子 つぐみ」という喫茶店で、トラジャを飲んだ。お菓子もスティックの、名前を忘れてしまったフランス風菓子がサクサクしてよかったのだが、トラジャの濃さには驚いた。ネルドリップで水滴を落とすようにして抽出された、小さなカップ一杯の珈琲。エスプレッソとはちがう、濃密ながらもふんわりした香りの立つハンドドリップ。ちなみに、カップはムーミン・マグでも有名なアラビアだった。落ち着いたひととき。


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ウィリアム・ブレイク(1757-1827)初期の詩集を3編収めた本。初めの一冊は、無垢な心を歌ったもので穏やかな喜びに満ちて、仔羊のモチーフがくり返され、神への敬虔を歌う。二冊目は、一転、「経験の歌」と題されて現世の苦しみと皮肉をこめる。作風の対比に戸惑う。三冊目は、「天国と地獄の結婚」と題され、思索的な内容。自然の美と崇高さを湛える一方、理性偏重を咎める。ロマン主義の系譜へ連なる。ブレイクの絵も観たくなる。


【書誌情報】
『ブレイク詩集』、ウィリアム・ブレイク、土居光知訳、平凡社ライブラリー、1995