2015年9月7日月曜日

【ご報告】本のカフェ第22回「児童文学特集」@東京

日時:2015年9月6日(日) 19-21時半
場所:ソリッドアンドリキッド町田店
参加人数:7名+運営3人
参加費:500円+ツーオーダー


今回は、5ヶ月ぶりの東京開催で「児童文学」を特集しました。はじめにワークショップ風のミニゲームを加えたのも、初の試みです。




場所は、町田の駅前にあるブックカフェ。新しいスタイルの本屋+雑貨+カフェで、購入前の本も持ちこんで読めます。日曜日の夕方、たくさんのお客さんで賑わっていました。その一角を借りて開始。


ワークショップは友人の三ツ谷さんが担当してくれました。「本のジャンル当てクイズ」とでも名づけられそうなゲーム形式。

1)答えとなる本のジャンル(ビジネス書、ノンフィクション、ミステリ etc...)をあらかじめ参加者に提示。
2)ファシリテーター(運営者Mさん)が回答者をひとり決め、ほかのひとには、あるジャンルが書かれたカードを見せる。
3)回答者以外はそれぞれ「そのジャンルらしい」タイトルを空想して考え、カードに書く。
4)順にタイトルを発表してゆき、全員のタイトルを読んだ時点で、回答者は「本のジャンル」を当てる。


これを3回くり返しました。「ビジネス書・自己啓発」はかんたんにわかりました。そのあと、「童話・民話」は少し考えましたね。最後に「写真集」はなかなか難しかったようです。


このゲームのあと、どんなキーワードや特徴が含まれていたら、「児童文学」らしいタイトルか、既存の作品はどうか、などディスカッションする時間が取られて、みなさんいろいろな考察をしてくれました。

うまくまとまって、時間も45分ほど。ちょうどよいアイスブレイク(打ち解けること)にもなりました。


さて、紹介タイム。一冊目は『ドローセルマイアーの人形劇場』。主人公は、若い教師のエルンスト。ふとしたことで、人形劇をしながら旅をする老人と出会い、魅せられてしまう。思い切って、老人と同じ列車に飛び乗り、退職届を郵送し、下働きをするようになる。そこで、自我をもつ不思議な人形、ねこ耳のゼルペンティーナと出会って…。著者の斉藤洋さんはドイツ文学研究者で、作中にはホフマンからの固有名詞の引用も多いのだとか。


二冊目は、絵本『おおきなおおきなおいも』。幼稚園でいもほりが開かれるはずが、雨が降り、延期になってしまう。そこから、いもほりができない生徒たちの想像の世界が広がってゆく。絵がかわいいのだが、単純な線で描かれた人物たちには表情が描き込まれない。けれど、ミッフィーやキティのように「無表情」であることが、かえって人間的な差異をなくして「かわいさ」を増すという指摘。想像力の魔法が現実の世界で塗り絵をする。


三冊目は、ファージョンの童話集『本の小べや』。70歳を過ぎて編んだ自選集。著者は1881年のイギリス生まれ、『ピーター・ラビット』や『ドリトル先生』の著者たちと同世代。紹介者はとりわけ子供のリアルが描かれた話に興味をもつ。子供の日常と冒険を描いた「十円ぶん」を引き合いに出しつつ、「ファンタジーは日常と地続き」であり、「ふっと湧くファンタジー」「日常のほっとする感覚」双方の大切さを教える物語、とまとめる。


そのあとは、フリータイムで「なぜSF×児童文学はあまりないのか?」といった話題で盛り上がりました。


今回、紹介された本は、「児童文学」(小学校高学年から大人まで楽しめる、長めのもの)「絵本」「童話集」とみごとにばらけておもしろいラインナップでした。紹介者のみなさま、ありがとうございます。


お世話になりました会場のスタッフの方々、店長さん、お越しいただいたみなさん、運営とワークショップを担当してくれたOさん、三ツ谷さん、SNSで拡散したり、見守ってくださったみなさまに感謝します。

主宰・文責・写真:木村洋平
受付、協力:Oさん
ワークショップ:三ツ谷里子さん


【書籍情報】
『ドローセルマイアーの人形劇場』、斉藤洋(作)、森田みちよ(絵)、あかね書房、1997
『おおきなおおきなおいも』、赤羽末吉、福音館書店、1972
『本の小べや』(1,2)、エリナー・ファージョン、石井桃子訳、岩波少年文庫、2001