2015年8月17日月曜日

谷川俊太郎は「ことばの展覧会」を開く


「情熱大陸」で谷川俊太郎さんが、詩を書くときに何を感じているのか、と問われて、「言葉を空っぽにする」と返答したらしい。

谷川さんらしい返答だと僕は思った。岩波文庫で『谷川俊太郎詩集 自選』を読んだのだが、そのときの感想は「谷川俊太郎の詩は、ことばの展覧会」だった。

「言葉を空っぽにする」ことで詩を書けば、それは情念や思想や批評といったさまざまな偏りから自由な立場で、ことばの「キュレーション」(バランスのよい選定)をして「展覧会」を開ける。ことばの彩り。自在なテーマ。

それは職業詩人にとっての強みだろう。

他方で、情念や思想や批評といったもののないところで詩を書くわけだから、あとには「ことば遊び」しか残らない。それが、内容空疎という点で、詩人としての弱みになる。(良質なコピーライターが作ったような詩になる)。

だから、谷川俊太郎さんの多くの詩は、心の奥底から湧き上がってきたものの表現でない。少なくとも僕は、いままで谷川さんの詩を読んで、心を動かされたことはない。感想はいつも乾燥している(というような、ちょっと気の利いたことが書いてある詩だ)。

ただ、訳者としての谷川俊太郎さんはすばらしいと思う。とくにスヌーピーシリーズはよくぞ、と思います。スヌーピー全集か、すぐれた選集に期待。