2015年4月23日木曜日

雨と木曜日(44)

2015.4.23.


ウクレレの工房へご招待いただいた。個人でなさっている方で、20本近いウクレレを試奏できる。型は、通常のミニギターの形とそのおなかがより膨らんだ形、それからパイナップルの3種類。すべてコンサートサイズ(よくあるスタンダード・ウクレレはソプラノで、それよりワンサイズ大きいもの)で、釣り糸の弦が張ってある。フロロカーボンという。一本、ハワイ原産コアの木を使ったウクレレは、魂が宿っているかのような音がした。


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函館の美鈴珈琲は1932年に始まる。80年以上の歴史があり、自家焙煎のお店としては道内でもとびっきり古いと思われる。ホームページによると道内一番の老舗。函館の駅ビルにもおみやげで置いてあり、そこから大門の商店街を少し行ったところにも小綺麗なシャレた店舗がある。イートインもできる。街を写した白黒写真も飾ってあった。今回は、札幌駅の小さなお店で2杯、買い求めてそばでビッグイシューの販売者さんと飲んだ。

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ロバート・クレイス『容疑者』は、犬とハンドラー(特殊な訓練を受けた犬の扱い手)の物語。久々の長編ミステリだった。それぞれの事情で傷を負った犬のマギーと主人公スコットは相棒となって、偶然巻き込まれた事件を追いかける。そのうち、「容疑者」というどこにでもある単語の意味がひっくり返って……。犬が芝を駆けるような軽快な疾走感のある読み心地でした。そこにも翻訳の力を感じる。読みやすく、身の回りで話題になっている一冊。


【書誌情報】
容疑者、ロバート・クレイス、高橋恭美子訳、東京創元社、2014