2015年3月12日木曜日

【場面】同時代のアート仲間

【場面】は、実際に会ったひとたちの印象的なシーンを記すシリーズ。


長年、札幌を中心に活躍されたアーティストにお話を伺った。いろいろな思い出話を聞かせてくださった。喫茶店を営んでいた頃、円山にまだ川が流れ、両岸が柳の並木道になっていた頃、東京で個展を開催、有名なギャラリストから声がかかったとき……。


なかでも印象深かったのは、「札幌で知り合ったアーティストの知人が死んだ時の話」。そのひととは、とくに親しいわけでもなく、いっしょに食事をするでもなかったが、死の間際にこちらから手紙を出した、という。向こうは何度もその手紙を読み返していた、とあとから聞いた。

「わたしたちには同時代をアートで生きている、という親近感があった。ふたりでゆっくり話をしたことがなくても、相手も札幌でがんばっていることを知っていた。展示があれば観に行った。そういう共通の意識で結ばれていた」
(*この言葉は、話したときの記憶を辿っているので、そのままではない。)