2015年2月27日金曜日

雨と木曜日(36)



猿田彦コーヒーのスタンド。そこでは飲むスペースがないけれど、コーヒーをテイクアウトできるこういう出店を「コーヒースタンド」と言うよね。ぼくがコーヒースタンドでいつも思い出すのは、「ベルリン天使の詩」という映画で、静かな天使たちの映像が美しい。そのひとりが、人間になって地上の生活を始めるのだが、勝手がわからない。とりあえず、コーヒースタンドでホットのブラックを一杯。その場面がとても好きなのです。

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そういう流れで、猿田彦コーヒーの紹介をしよう。さきのコーヒースタンドでは、豆を二種類買ってみたけれど、「クラシックフレンチ」がとてもおいしい!ホームページに紹介されている「猿田彦フレンチ」と同じかな? ぼくはあちこちの珈琲を飲んでいて、北海道の「ゴーシュ」というカフェの焙煎を尊敬しているが、その深煎りにすごくよく似ていた。つまんで力を入れたらくしゃっとつぶれそうなほど、丁寧に焦げた焙煎。


猿田彦コーヒー:http://sarutahiko.co/
ゴーシュ:http://www.gosh-coffee.com/

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『江戸のエコロジスト一茶』という本を読む。俳句の小林一茶を、「エコロジー」の観点から見直す本。フランス出身の研究者が書いているのだが、なるほど、俳句の分析にしては妙に西洋がかっている。ぜんたいに江戸が「エコロジカル」な社会だ、というのはよく言われるが、一茶には「心のエコロジー」まであると言われると俳論としては心許ない。とはいえ、伝記的事実や、選び出す俳句のセンスには、著者の深い愛情を感じる。


【書誌情報】
マブソン青眼、『江戸のエコロジスト一茶』、角川学芸出版、2010