2014年5月29日木曜日

【エッセイ】雨と木曜日(9)


先日、小樽へ行ってきました。ちょうど夏日になり、シャツを羽織ればよいくらい。運河では記念写真を撮る外国人に出くわし、観光用ボートが水のうえをゆくのを見かけました。去年まで、運河にモーターボートはなかったように思います。交差点で見上げると「色内(いろない)」「港町」といった地名が見つかり、海を見て一回りすると駅へ戻ります。そこで、ふと古い郵便ポストを見かけました。円筒形。現役でした。

***

「珈琲の効能について」と書かれた紙が、珈琲豆の入った袋に同封されていました。とある珈琲屋の店主のお手製のよう。

(1)コーヒーが糖尿病を予防する
(2)コーヒーが心疾患を予防する
(3)コーヒーが脳卒中を予防する
(4)コーヒーが癌のリスクを下げる

(1)はインスリンの働きを活性化する物質(クロロゲン酸)がコーヒーに含まれているから、とのこと。(2)もクロロゲン酸の抗酸化作用と……素敵なおまけの紙。

***

『ペロー童話集』は、フランスの古い童話集。シャルル・ペロー(1628 - 1703)が民間伝承を集めたもの。こうした民話の採録ではもっとも古いものに当たる。有名なところでは、「眠れる森の美女」「赤ずきんちゃん」など。「シンデレラ」や「長靴をはいた猫」も収められている。ところで、ペローがこの童話集を推薦するまえがきその他もおもしろい。「子供の教育によい、道徳的だ」と主張するが、牽強付会でどこか微笑ましい。


【書誌情報】
『ペロー童話集』、新倉朗子訳、岩波文庫、1982