2014年4月17日木曜日

雨と木曜日(3)



白樺の枝先がわさわさ、もしゃもしゃしてくる。ぱっと見では真冬と変わらないが、よく目を凝らすと若い芽が吹いている。4月も半ば、相も変わらず裸のままの白樺だが、頂の枝に春は来にけり。夏の緑にあふれている頃も、秋の最後の一葉が落ちようとする頃も、白樺は魅力的なたたずまいだが、春先の様子を観察したのは初めてでした。

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映画、アナと雪の女王を観てきた。ディズニー映画にはずいぶんご無沙汰していたけれど、とても楽しめた。ほとんど感動したと言ってもいいくらい。この映画は、アンデルセン「雪の女王」からインスピレーションを得て作られたようだが、なるほど、絵本で見たり心で思い描くあの北欧の世界が、ファンタスティックに表現されている。また、数年来ジブリのような陰影のある世界に、子供向けの作品では親しんでいたため、シンプルさに心打たれた。

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サイクリングの本。といっても、旅行記ではなくて、イギリスの田舎道を走った著者によるペン画の画集。ときには、自転車を漕ぐ姿も描き込まれていて、それは実写でなく想像の中の自画像なのだろう、と思わせる。著者は19〜20世紀を生きており、自転車の歴史の始まりを同時代人として知っていた。そう思って読むとなお面白い。そういえば、ホームズでも自転車乗りの婦人の出てくる作品があり、物珍しいアイテムとして耳目を引いていた様子がわかる。


【書誌情報】『サイクリング・ユートピア』(画集)、フランク・パターソン著、野川政美+文遊社編集部編、文遊社、2013