2013年3月6日水曜日

ミッドナイトの珈琲


10時半に床に就いてから、眠れない小一時間を過ごした。11時33分、真夜中のベッドを脱け出して、珈琲を淹れた。新鮮なキリマンジャロの豆を挽く。蒸らせば、ふっくらと膨らむ。じぃっと眺めて、ここいらかな、という時点で、手慣れた「の」の字で抽出する。焙煎からまだ数日のキリマンジャロは、軽く、酸味を利かせて、爽やかなコクのある珈琲に仕上がった。

ついでに、ふと思って、ヨーグルトをすくった。ちょっぴりとグラノーラをかける。ヨーグルトの酸っぱさが珈琲の苦みと合い、グラノーラはからからと音を立てて歯にはじけた。思ったよりも眠気がぼーっと頭を包んでいた。が、小さなカップに半分の珈琲は、頭の芯を覚醒させるにちがいない。今夜はよく眠れないだろう、音楽でも聴こうか。

道を踏み外したひとにとって、大切なことは、はじめの分かれ道まで、引き返してくることだ。それは勇気がいるし、なにより時間がかかる。ゆくよりも、戻る道の方が。それでも、もといた場所に立ったひとは、大人になっている——。