ところが、博士と弟子たちを乗せた船は、大皿のなかで大きな薄緑色の山に乗り上げてしまいました。
「むむ、座礁したぞ。」博士はブイヨンスープの波をかぶりながら、弟子たちに言いました。「さあ、これから尋常でないポトフの冒険が始まるぞ。」
ポトーフ博士は、丸のキャベツを半分に切った山を見上げて言いました。「諸君、君たちはこのキャベツの山に登頂できると言うのかね?」弟子たちはぶるぶると首を振りました。
それからも、いろいろな素材にでくわしました。
「ああ!わたしとしたことが玉ねぎの皮ですべるなんて。」
透き通った玉ねぎの表面は、なめらかでした。
「わが愛しのマスタード、君だけが頼りだ!」
黄色いマスタードが、ちょびっと皿の縁に乗っていたのです。
「ふきが入っておる!」と、博士は驚きました。ルーペで拡大して、ぱくりとかじりつきました。「初夏の味じゃ。五月の風が薫らないだろうか?」
「とんでもないソーセージじゃ。ぷりぷりしておる。」
それは、ほとばしる肉汁とぱちんとはじけそうな皮のソーセージでした。
「だめだ、どれだけ掘ってもほくほくのじゃがいもよ。」
色の良いじゃがいもは、やわらかいのに煮崩れた様子もないのです。
そんなこんなで、ポトーフ博士とその一行は、大皿の半分も食べ切ることができませんでした。